“ありがとう”が循環する場所をつくる。――就労支援と暮らしの設計

“ありがとう”が循環する場所をつくる。――就労支援と暮らしの設計

「ありがとう」という言葉を、もっと自然に、もっと日常に。
事業の形は変わっても、根底に流れているのは一貫した想い。
“人を想うことを、仕組みにする”。
今回は、株式会社ありがとうが生まれた背景から、
これまでの歩み、そしてこれから目指す未来について、
代表・近藤正登氏の言葉を通して紐解いていく。

働く側が壊れていく現場を、変えたかった

――まず、株式会社ありがとうの事業内容について教えてください。

近藤: 障害者就労支援のA型・B型事業所と、共同生活支援、いわゆるグループホームを運営しています。
A型が30名、B型が26名ほどですね。自由な働き方ができるのがうちの特徴です。

――この会社は、グループ代表の富島さんが立ち上げたと聞いています。

近藤: はい。ただ、運営の設計や社員教育、現場づくりは、かなり自由に任せてもらっています。

――そもそも、障害者支援の世界に入ったきっかけは?

近藤: 社内に障がいのある方がいて、働きやすい環境を作るためにグループからの要望がありました。
また、富島さんからの指示で福祉業界に入ることになりました。</p

立ち上げ初期は、ほぼ一人だった

――株式会社ありがとうは、いつ頃立ち上がったのですか?

近藤: 2018年頃ですね。最初は、サービス管理責任者、パートさん2名でしたが、パートさんが1か月で辞めてしまって、実質サービス管理責任者1人体制のスタートになりました。

――かなり大変そうですね。

近藤: 大変でした。
私は当時、別会社のコールセンターにいたんですが、「ちょっと手伝ってほしい」と呼ばれて、そのまま運営にどっぷり入っていきました。

――そこから社長に。

近藤: 気づいたら、ですね。
3年ほど現場を回した後、グループとしても次のステージに上がっていくために代表と交代する形となりました。

A型・B型は「障害の重さ」で決めない

――就労支援A型・B型の違いについて、誤解も多いですよね。

近藤: 多いですね。
うちは「障害が重いからB型」「軽いからA型」という分け方はしていません。

――どう判断しているのですか?

近藤: その人の今の状態です。
うちの施設は精神障害の方が9割以上ですが、「どれぐらい重度?」は本人でもレベル感が分からない部分があるので、基本的にはご利用者さんの希望に合わせてA型・B型を選んでもらっていますが、できるかぎりご本人様の成功事例を作って頂きたいので、A型の業務が難しそうであればB型から始めてもらうケースもあります。

――A型は雇用契約がありますよね。

近藤: はい。最低賃金保証、労働保険もあります。
その分、事業所側はスコア評価が厳しい。
売上、黒字、生産活動費、労働時間、全部点数化されるんです。

――経営的にはかなりシビアですね。

近藤: 最低賃金は毎年上がるのに、国の報酬は横ばい。
正直、A型だけで黒字を出すのは相当きついです。

――B型については、どう考えていますか?

近藤: B型は、雇用契約がありません。
月3,000円以上の工賃を出すことが条件とされていますが、実質的には茨城県では20,000~30,000ぐらいが平均になると思いますが、B型のご利用者様はA型と比べてもまずは生活習慣から見直す必要があって、収益が期待できる業務はやりずらい点から難しい事業だと思います。

――それでも続ける理由は?

近藤: 障がいの度合いや本人の生活習慣から受入れてくれない事業所も多いようで、僕はこの業界に携わっている限りは希望される方の受け皿になりたいと思っています。

――仕事内容は?

近藤: クラフトが中心ですね。
バッグや紙工作、編み物。
イベント販売では、接客が得意な人に立ってもらいます。

――「仕事」というより…

近藤: 「居場所づくり」に近いかもしれません。
守られる側から、誰かの役に立つ側へ。
その感覚を取り戻す場所です。

グループホームは「やってあげない」支援

――共同生活支援(グループホーム)について教えてください。

近藤: 今は3拠点で、来月4拠点になります。
夜間支援に特化しています。

――生活面の支援で大切にしていることは?

近藤: やりすぎないことです。
転んだら、起こすんじゃなくて「立ち方」を一緒に考える。
食事も、片付けも、できるように支援する。

――自立を促すということですね。

近藤: はい。
一生守るのが目的じゃない。
一人でも生きていける力をつけてもらうことが僕達の仕事です。

「数字」と「居心地」、両方を見る経営

――経営者として、何を一番大事にしていますか?

近藤: 目に見える数字と、見えない数字、両方です。
収益、点数、加算。
でも同時に、居心地や定着率。

――福祉業界は、不正の話も聞きます。

近藤: あります。
でも、うちはやらない。
違反前提の収益化はしません。
遠回りでも、正攻法でやると決めています。

出会う前より、幸せであってほしい

――この仕事のやりがいは何ですか?

近藤: 「ここに来てよかった」と言われる瞬間ですね。
人生のどこかで、「この会社があったから今がある」
そう思ってもらえたら、それ以上はないです。

――今後の目標は?

近藤: 年商10億円を目指しています。
でも、目的は数字じゃない。
人を大切にし続けることです。

――最後に、これから福祉や起業を考える人へ。

近藤: きれいごとだけじゃ続きません。
でも、損得だけでやる仕事でもない。
人に向き合う覚悟があるなら、挑戦する価値はあると思います。

会社情報

会社名
株式会社 ありがとう
事業内容
就労継続支援A型
就労継続支援B型
共同生活支援事業
所在地
茨城県土浦市板谷6丁目649番地3
代表者
近藤 正登
設立
2016年9月
資本金
691万円
従業員数
役員 2名
社員 7名
パート 7名
利用者数
A型 30名
B型 26名

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