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美容室経営の傍ら、美容系のテナントも運営する”ダブルプレイヤー”小林ゆみえ
広告を出さず、立地にも恵まれているわけではない。
それでも予約は埋まり、店は続いている。
美容室「DECUMANO(デクマーノ)」代表・小林ゆみえは、自らを「経営者」ではなく「一人のアーティスト」だと言う。
現場に立ち続ける美容師でありながら、今では美容関係の個人事業主を支えるテナント事業も手がけている。
その原点にあるのは、野心よりもずっとシンプルな感情だった。
「困っている人がいるなら、放っておけない」。
人との縁と現実的な行動力が交差したとき、彼女の仕事は自然と形になっていった。
美容師であり続ける、「代表」という立場

――まず、現在の事業内容について教えてください。
小林: 美容室DECUMANO(デクマーノ)の代表をしています。株式会社ではないので、肩書きは代表ですね。
基本的には、今もずっと美容師として現場に立っています。
それともう1つ、「BACI(バッチ)」という美容関係者向けのテナント事業もやっています。
いわゆる大家業なんですけど、ただ貸すだけではなくて、コンサル的なサポートもしています。
珍しい組み合わせだと思われますが、全部延長線上なんです。
――BACIを始めたきっかけは何だったのでしょうか。
小林: 周りの美容関係の個人事業主が、同じ時期に一斉に困り始めたんです。
アパートの更新ができない、急に駐車場が使えなくなった、
そもそも賃貸契約的にアウトな場所で営業していて退去を命じられた人もいました。
「もう店が続けられないかもしれない」という人が何人もいて。
それを見て、「そんなに困っているなら、私がやってあげるよ」って。
――以前から構想はあったのですか。
小林: 美容関係者が集まるテナントをやりたい、という考え自体は前からありました。
でも、周りの状況が一気に背中を押した感じですね。
――物件はどのように用意されたのでしょう。
小林: 親族が家業の一環で、空き物件を家賃を払いながら押さえてくれていたんです。
それを譲ってもらって、親戚にお願いしてフルリフォームしました。
行き場を失っていた人たちが、すぐに入れるように。
――美容師としてのキャリアについても教えてください。
小林: 東京の専門学校を卒業して、「ビュートリアム」で働いていました。
丁稚奉公みたいな下積みで、正直かなり厳しかったです。
――そこから地元に戻られた理由は?
小林: 土浦生まれ土浦育ちなので、地元で何かしたいという気持ちはありました。
決定的だったのは、今の店舗の大家さんから声をかけてもらったことです。
その人も元美容師で、幼馴染なんです。
自分の野望だけじゃなくて、人との縁に導かれてここまで来た感覚があります。
広告ゼロ、100%紹介で店が回る理由

――驚いたのが、広告を一切使っていないことです。
小林: ホットペッパーも含めて、広告は一度も使っていません。
立地も良いとは言えないんですけど、紹介だけでやってきました。
――それでも、2年で予約が埋まったとか。
小林: はい。
特別なことは何もしていなくて、「当たり前のこと」をやっているだけです。
小林: 営業時間を守る、毎日きちんと店にいる、掃除をする。
個人事業主って自由な分、これをサボりがちなんですよ。
でも私は、サラリーマンみたいに当たり前を続けるのが一番大事だと思っています。
苦労していると感じない理由
――経営的に辛かった時期はありましたか。
小林: 正直、あまりないです。
コロナもありましたけど、「辛い」とは思わなかった。
20代の会社員時代が本当にきつくて。
あれを経験しているから、今は全部「自分の選択」だし、楽しいですね。
――今、いちばんの課題は何ですか。
小林: 一緒に働いてくれる技術者がいないことです。
仕事にリスペクトを持って、同じ方向を向ける人って、本当に少ない。
――事業拡大については。
小林: 良い人との出会いがあれば、店舗展開も考えます。
だから、できるだけ多くの人と会うようにしています。
――若手女性起業家への思いも強いそうですね。
小林: 今、若い女性が起業するときに、
不安定な男性の出資に頼ってしまうケースが多いのが気になっていて。
関係が終われば事業も終わるし、技術の安売りにもなる。
本人の将来のためにならないと思うんです。
――BACIは、その受け皿でもある。
小林: そうです。
敷金礼金や変な後ろ盾に頼らず、自分の力でやりたい人を支えたい。
ここに入っている子たちは、全力で応援します。
美容業界の未来への危機感
――業界全体について、どう見ていますか。
小林: フリーランスや面貸しが増えすぎていると思います。
下積みをしないまま独立する人が多くて、技術の差が広がっている。
――二極化ですね。
小林: はい。
ちゃんと修行した世代と、そうでない世代の差は、これからもっと開くと思います。
東京を知ったからこそ、土浦を選ぶ
――なぜ、土浦で起業を続けているのでしょう。
小林: 一度東京に出たからこそ、土浦の良さがわかりました。
狭い街だからこそ、つながりが濃い。頼れる人が必ずいる。
――発展の余地も感じている。
小林: 東京は完成されすぎているけど、土浦はまだまだ。
私たち40代が中心になって、街を良くしていけると思っています。
経営者ではなく、アーティストとして

――最後に、ご自身をどう捉えていますか。
小林: 経営者というより、ずっとアーティストです。
40歳まではお金のことも考えてなかったですし(笑)。
――家族や仲間との関係も印象的です。
小林: 家族も友達も、起業家や自営業が多いんです。
一人も欠けたくない。
ぶつかることがあっても、最後は仲間でいたいですね。
会社情報
- 店舗名
- DECUMANO
- 代表者
- 小林ゆみえ
- アクセス
- 〒300-1158
茨城県稲敷郡阿見町住吉 2-11-5 - 電話番号
- 029-841-4953
- 営業時間
- 11:00~19:00
- 定休日
- 月曜日・火曜日・不定休