最大化より、最適化。――焼き芋から世界へ。「最大化より、最適化。」――焼き芋から世界へ。ルーツが描く“全行為型”経営

最大化より、最適化。――焼き芋から世界へ。「最大化より、最適化。」――焼き芋から世界へ。ルーツが描く“全行為型”経営

「焼き芋屋」と聞いて、ここまでの広がりを想像する人は少ない。
畑、加工、店舗、デザイン、福祉、そして海外での品種管理まで。

株式会社ルーツ/ワークラボ株式会社代表、鴻巣泰央が語るのは、
“拡大”ではなく“最適化”という経営のかたちだった。

焼き芋から始まった「一気通貫」モデル

焼き芋屋さん

――現在の事業内容を教えてください。

鴻巣: いまの軸は株式会社ルーツですね。焼き芋を中心に、生産から加工、販売まで全部自分たちでやっています。いわゆる6次産業化って言われるんですけど、うちは「やろう」と思ってやったというより、気づいたら全部やってたって感じなんです。

やっぱり途中を外に任せると、価格も品質も自分たちで握れない。だったら畑からやろう、と。貯蔵も自分たちでやれば糖度もコントロールできる。そうやって一個ずつ積み上げていったら、今の形になりました。

――ルーツとワークラボ、それぞれの役割分担ってどう整理されていますか。

鴻巣: ワークラボは福祉の会社ですね。障害福祉サービスをやっています。年商は3,000万〜4,000万円くらいです。

でも、ボランティア感覚ではないです。ちゃんと事業として成立させる前提でやってます。仕事を作って、対価を払う。経済の中に福祉を組み込む、という感覚ですね。

――規模感としてはどれくらいで運営されていらっしゃるのでしょうか?

鴻巣: 正社員が7〜8人くらいで、アルバイト含めても15人いないですね。

小さいですよ。でも10年以上いるメンバーもいますし、20代からずっと一緒にやってる子もいる。僕は“規模”より“続くこと”のほうが大事だと思っていて。大きくするより、長くやれる組織にする。それが最適化かなと。

原点は「4つの仕事」を掛け持ちした高校時代

アパレル

――ここまでの経営に至る原点って、どのあたりにあると思いますか?

鴻巣: 高校時代ですね。アパレルで働いてたんですけど、給料が足りなくて(笑)。気づいたら4つ掛け持ちしてました。

別に起業しようと思ってたわけじゃないんです。ただ「生きるためにどうするか」を考えて動いてたら、自然と商売の感覚が身についた感じですね。

――4つって、相当ハードですよね…。

鴻巣: 今考えるとそうですね(笑)。でもあの時は必死だったんで。

夜の情報誌の仕事もやってて、営業も撮影もレイアウトも全部やりました。IllustratorもPhotoshopも独学です。「やらないと回らない」から覚えた。

あの時に“売る”って商品だけじゃなくて“見せ方”なんだって学びました。それが今のデザイン事業に繋がっています。

――じゃあ、焼き芋を始めたのも流れの中で?

鴻巣: そうですね。当時、茨城で移動販売が流行ってたんです。これなら初期投資もそこまでかからないし、自分で裁量持ってできるなって思って。リスクを抑えながら勝負できる。それが魅力でした。

低コストで始めた移動販売

――最初のスタート資金、かなり工夫されたと聞きました。どんな準備をされたんですか?

鴻巣: 乗ってた車を売って、小さい車に変えました。その差額を改造費に。借金はなるべくしたくなかったんです。固定費が怖かったので。

――かなりDIY精神ですね。

鴻巣: そうですね(笑)。窯はヤフオク、ロゴは自分でデザイン、板金は友達。できることは全部自分たちでやる。

お金がないからこそ工夫する。その積み重ねが今に繋がってると思います。

――それがもう21年続いている、と。

鴻巣: そうなんです。焼き芋はずっとやってる。形は変わっても軸はブレてない。これが一番大きいと思います。

品川やきいもテラスが転機に

――流れが一気に変わった瞬間って、覚えていますか?

鴻巣: 品川やきいもテラスですね。第1回で3万人来て。窯何台回しても足りない。「あ、これ需要あるな」って確信しました。

――そこから店舗に?

鴻巣: そうです。移動販売はその日勝負。でも店舗なら積み上がる。ブランドになる。“待つ商売”から“来てもらう商売”に変えた感覚ですね。

コロナ禍での決断

――コロナのときは、正直どうでした?

鴻巣: 看板やTシャツは一気に落ちました。イベントも止まりましたし。でも焼き芋は逆に強かった。テイクアウト特化にして、店内飲食をやめた。行列って“見える広告”になるんですよ。

――支援制度もある中で、あえて選ばなかった理由はどこにありましたか。

鴻巣: 慎重でした。不正受給のニュースもありましたし。その代わり融資で攻めました。空いた観光地物件を取りにいった。止まるほうが怖かったですね。

茨城で勝つという選択

――東京じゃなくて、茨城を主軸にしているのはなぜですか?

鴻巣: 20歳からここで積み上げてきたからです。生産地価格20円の芋が銀座で1,300円になる。この距離感が武器なんです。無理に広げるより、ここで磨いたほうが強い。僕は“最大化”より“最適化”派ですね。

――最後に、これからのビジョンを教えてください。

鴻巣: 50年、100年続く会社にしたいです。派手なジャンプより、体幹を鍛える。貯蔵庫を増やす、畑を広げる、BtoBを強化する。地味ですけど、それが一番強いと思っています。

――なんだか、経営が筋トレみたいですね。

鴻巣: まさにそうです(笑)。コツコツやるのが一番効くんですよ。

会社情報

会社名
株式会社ROOTS
事業内容
看板の企画・デザイン・施工
繊維製品へのデザイン・印刷
焼き芋専門店の運営
農業
所在地
〒300-0817
茨城県土浦市永国28
代表者
鴻巣 泰央
設立
2008年9月
資本金
200万円

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