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「家業を、もう一度立て直したい」 再建の現場から生まれた、アプリコットの原点――
経営が厳しい。
数字を見るのが怖い。
それでも、会社は続けていかなければならない。
アプリコット株式会社の代表・塚本 忍は、かつて“経営難の渦中”にいた当事者だった。
家業として営まれていたホテルは債務超過に陥り、いつ終わってもおかしくない状況。
なぜ再建は可能だったのか。
その経験は、どのようにして今の事業につながっていったのか。
塚本が積み重ねてきた「実践としての経営」を紐解いていく。
家業の再建が、すべての始まりだった
――まず、アプリコット株式会社の事業内容について教えてください。
塚本: 私たちアプリコット株式会社は、茨城県つくば市を拠点としたコンサルティング会社です。
光熱費や管理費、修繕費といった固定費のコストカットをはじめ、補助金申請の戦略設計から申請書作成まで、一貫して支援しています。
――かなり幅広い領域をカバーされていますね。
塚本: はい。その背景には、私自身が「経営難のど真ん中」を経験してきたことがあります。
かつて債務超過だった家業のホテルを、自ら立て直してきました。そのときに培った経験やノウハウを、今度は他の経営者の方々に還元したい。そんな思いでこの会社を立ち上げました。
――もともと、家業を継ぐ意識はあったのでしょうか。
塚本: 正直に言うと、まったくありませんでした。
祖父は造園土木会社の創業者、父はホテル経営を行う株式会社大三の創業者。経営者に囲まれた環境で育ちましたが、だからこそ「自分は違う道を行くんだろうな」と、どこか距離を置いていた気がします。
――経営者一家という環境が、逆に影響していた部分も?
塚本:あったと思いますね。身近に経営をしている大人がいるのが当たり前だったので、逆に「自分も何かをやろう」と強く思うことはなかったんです。
学生時代は、将来の夢や明確な目標を持っていたわけでもなくて。どこかで「なんとかなるだろう」と思いながら過ごしていました。
一度は進路を大きく方向転換することもありましたが、その後あらためて学び直す道を選びました。
卒業後は東京で一般企業に就職しました。いわゆる普通のサラリーマンです。そのまま会社員として働き続けるんだろうな、と当時は思っていましたね。
――そんな塚本さんの人生が大きく動いたきっかけは何だったのでしょうか。
塚本: 就職して数年が経った頃、父が脳梗塞で倒れたことです。
帰省した際に、「会社を継いでほしい」と相談されました。今まで一切そんな話はなかったので、正直かなり戸惑いました。
――すぐに決断できたわけではなかった?
塚本: はい。迷いましたが、最終的には両親の強い希望もあり、まずは社員として家業に関わることを決めました。
ただ、ホテル業は完全に未経験だったので、いきなり入るのではなく、同業他社で修行をしようと考えました。
――準備期間もしっかり取られたのですね。
塚本: 知人のつてを頼って新橋のホテルで1年間働き、その後はワーキング・ホリデー制度を使ってカナダ・バンクーバーへ渡りました。
つくばは学園都市で外国人のお客様も多い。ホテルをやるなら英語は必要だと思ったからです。
――満を持して戻られたわけですね。
塚本: そう思っていました。ところが、帰国して現実を目の当たりにして愕然としました。
母から「経営が厳しい」という話は聞いていましたが、実際にはいつ潰れてもおかしくない状態だったんです。
――想定していた状況とは、かなり違った?
塚本: 本来であれば、修行で身につけたことを活かしながら段階的に経営に関わるはずでした。
でも実際は、いきなり「立て直し」が最優先課題になりました。気づけば、家業を継ぐというより、倒れかけた会社を必死で支える立場になっていました。
債務超過からの再建。その第一歩
――経営再建のために、最初に取り組んだことは何でしたか。
塚本: 最初は徹底したデジタル化です。
紙ベースで管理されていた社内情報をペーパーレス化し、無駄なコストを一つずつ削っていきました。小さな改善でしたが、確実に手応えがありました。
――同時に、ホテルの価値を見直したとも聞いています。
塚本: はい。「このホテルの強みは何なのか」を明確にする必要がありました。
本当は全客室を改装したかったのですが、80室もあるため資金的に不可能。銀行からの追加融資も受けられない状況でした。
――そこで、別の打ち手を考えたのですね。
塚本: 使われていなかった会議室を、リラクゼーションルームに変えることを思いつきました。
高級マッサージチェアを置けば話題になると思ったんです。
――資金的にはかなり厳しかったのでは?
塚本: 1台100万円と聞いて、正直無理だと思いました。
それでも諦めきれずメーカーの工場まで直接出向いて交渉したところ、1台25万円まで下げてもらえたんです。
――その施策が、大きな転機に。
塚本: はい。4台導入し「定価100万円のマッサージチェアが使えるホテル」と打ち出したところ、口コミで一気に広まりました。宿泊客増加の大きなきっかけになりました。
補助金を「手段」として使う
――補助金の活用も再建の要になったそうですね。
塚本: そうです。補助金は“もらうこと”が目的ではありません。
どう使えば事業が良くなるかを考え抜くことが大切です。
――結果的に、経営状態も大きく改善した?
塚本: 債務超過は解消され、再び銀行から借り入れができるようになりました。
当時は月350時間以上働いていましたが、不思議と苦ではなく、「経営って面白い」と感じていました。
成功体験を、次は誰かのために
――アプリコット創業へとつながるわけですね。
塚本: はい。2019年にアプリコットを立ち上げました。
家業再建で得たコストカットや補助金活用のノウハウは、他の企業にも必ず役立つと確信したからです。
――現在の事業の核になっている部分ですね。
塚本: 特にコスト削減は徹底しました。相見積もりと価格交渉を、電気・ガス・設備・アメニティまで、すべてにおいて行いました。その経験が今に生きています。
地域とともに、これからも
――最後に、今後の展望を教えてください。
塚本: 補助金を採択されたものの、活かしきれていない企業の支援に力を入れたいですね。
また、M&Aにも挑戦し、引き継いだ会社を立て直して新しい価値を生み出していきたい。
それを通じて、地域の発展に寄与する会社であり続けたいと思っています。
会社情報
- 会社名
- アプリコット株式会社
- 事業内容
- みんなの補助金
コスト・経費削減のCosty(コスティ)
webコンサルティング・ホームページ制作 - 所在地
- 〒305-0817 茨城県つくば市研究学園5丁目12-10研究学園スクウェアビル402
- 代表者
- 塚本 忍
- 設立
- 2019年
- 資本金
- 100万円